十六天神
十六天神社は大分県臼杵市江無田にある菅原道真公の父子を指す16善神が祀られている神社です。

大友宗麟公が丹生島に城を築いた時代、この場所は風光明媚な臼杵七島の1つに数えられた磯島(いそしま)と呼ばれる小さな島でした。
高台の上はカシの木やシイの木で覆われ、境内からはかつて磯島だった時代に映った風景を垣間見ることができます。

十六天神へのアクセスと基本情報
JR日豊本線 上臼杵駅の改札を抜けて、北へ徒歩で約20分です。臼杵川に架かる万里橋を渡り、そのまま日豊本線の線路に沿って歩き江無田地域の三叉路の角に鳥居が見えます。
基本情報は以下
住所 | 〒875-0083 大分県臼杵市江無田 |
電話 | なし |
拝観料 | 拝観自由 |
拝観時間 | 特になし |
祭神 | 菅原神 |
十六天神の由緒
大友宗麟公が丹生島に丹生島城(臼杵城)を築いた時代、臼杵市街地の海岸部分は小さな島が散在していました。島々は景勝地「臼杵七島」と呼ばれていました。
江無田台地から東の方角を望むと、臼杵七島の1つ「磯島」が浮かんでいました。当時は臼杵湾の波が打ち寄せる小島で干潮を待って江無田から磯島へは渡ったといわれています。

この地にいつ頃から神が祀られたのかはわかっていません。江戸期に創建された「妙法山安楽寺」の境内にある 沿革碑(1848[嘉永元]年の妙法山記)によれば、この地の有力者だった真野長者が、ある時海を埋め立て田を開こうとしたところ、龍神の祟りから大地震が起きました。

長者は574(敏達天皇3)年に菅原道真父子一族の16人(十六善神)を社に勧請し、大般若経を読誦します。
すると神が感応し十六の天童子がこの島に降臨、龍神の祟りを鎮めたと伝わっています。この一連の出来事の後、この社を「十六天神」と呼ぶようになったとのことです。
臼杵6代藩主の稲葉知通公はこの神社に祀られる十六善神を深くうやまい、1703(元禄16)年、 大宝院宥源に命じてこの地に「妙法山安楽寺」を開かせます。
十六天神の見どころ
臼杵川に掛かる萬年橋を渡って、北上すると右手に小高い丘に鳥居が見えてきます。この丘全体が十六天神社です。

石段の途中には、江無田の生まれで村の議員や総代などを務め、地域のために尽くした平川又四郎氏の報徳碑がたてられています。

石段をのぼると境内が広がり、目の前には入母屋造の壮麗な拝殿が建てられています。

一間社流造の本殿には、シックな木目が引き立つ彩と繊細な彫刻が見事なバランスで表現されています。

本殿左右に彫られた脇障子です。長い年月をかけて風化した美術品観賞も神社参詣における楽しみの1つでしょうか。

本殿壁面に描かれた彫刻。こちらも改修された当初はきれいなコントラストが表現されていたのでしょう。色褪せた本殿の方がより厳かな雰囲気が漂います。

境内にはその他に「若宮八幡塔」や「村社昇格記念碑」や複数の石燈籠が散在しています。

臼杵の中でも特に歴史の長い十六天神は、臼杵にかつてあった七島を彷彿させてくれる神社です。

地域の方もよく参詣に訪れて、祈りを捧げている風景をよく目にします。
祀られる十六善神は大般若経を守る十六の護法善神です。いにしえの時代に神と仏が調和した神仏習合のなごりが、十六天神社にも残されています。
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