御霊神社(風成)ごりょうじんじゃ(かざなし)

御霊神社(風成)は大分県臼杵市風成に鎮座する神社です。

大友氏のお家騒動「大友二階崩れの変」では大友20代当主大友義鑑おおともよしあき宗麟の父)が重症を負いその後死去。事件に関わった義鑑の老臣田口蔵人佐たぐちくろうどのすけの娘である松江の霊が祀られた神社です。

御霊神社(風成)光に包まれた境内

参考までに臼杵市内には「御霊神社」と呼ばれる神社は合わせて5社(戸室野村大泊風成佐志生)あります。社号は同じですがそれぞれ御祭神がすべて異なっています。

今回は風成に鎮座する御霊神社のご紹介です。

最終更新日:2022年11月15日
アクセスと基本情報

JR日豊本線 臼杵駅からバスで泊ヶ内方面に乗車、約11分程で風成バス停で下車。そこから徒歩で約5分。

基本情報は以下

住所 〒875-0032 大分県臼杵市風成
電話 情報なし
拝観料 拝観自由
拝観時間 特になし
創建 1845(弘化2)年
祭神 田口松江の霊、大山祇神、菅原神、恵美須神、大物主神
関連リンク 臼杵市HP-御霊社(その二)
臼杵市HP-田口石見守の墓
御霊神社(風成)の由緒

1550(天文19)年に府内(大分市)上野原館で発生した「大友二階崩れの変」は、大友20代当主大友義鑑おおともよしあき(宗麟の父)が跡継ぎに義鎮(宗麟)ではなく側室の子「塩市丸」に継がせようとした家督争いです。

義鎮(宗麟)を跡継ぎに押す家臣の1人田口蔵人佐たぐちくらうどのすけは、共に塩市丸の跡継ぎに反対していた家臣2人が義鑑の謀によって殺されてしまいます。

自分にも被害が及ぶことを恐れた蔵人佐は、津久見美作と共に館の裏口から二階へ駆けあがり、塩市丸とその母や姉たちを殺し、義鑑を負傷させる事件を起こします。

御霊神社(風成)鳥居に掛かる扁額

田口、津久見両名はその場で壮絶な最後と遂げ、義鑑はその傷がもとで2日後に死去。この時大友義鎮(宗麟)は不在だったと言われています。

事件後、田口氏家族は反逆者となり三男の与一郎と長女の松江は討っ手を逃れ、大泊の村人によってしばらく蝙蝠洞こうもりどうにかくまわれます。

しかし内応者の密告によって捕らえられ、同年7月16日、ついにこの地で殺されてしまいます。

御霊神社(風成)美しい境内

しばらくして村内で疫病が流行、一向に収束しない状況に村人は2人の祟りではないかと恐れ、1845(弘化2)年霊祠を建て与一郎の霊は大泊に、妹の松江の霊は風成へ御霊社として祀られました。

御霊神社(風成)境内からの眺望
見どころ

臼杵駅からバスで約11分。風成バス停から、民家を抜けて山間を進むこと数分。鳥居が見えてきます。鳥居は1900(明治33)年に寄進されたもののようです。

御霊神社(風成)県道から5分鳥居が立つ

石段を上り進めると、周囲に漂う張り詰めた空気が境内へと誘います。

御霊神社(風成)張り詰めた空気が古社へと誘う

手水舎の脇に、1897(明治30)年の改築時の大友氏の家紋「杏葉紋ぎょうようもん」が刻まれた棟瓦が置かれています。

御霊神社(風成)手水舎の脇に大友氏の家紋「杏葉紋」

境内正面に入母屋造本瓦葺きの拝殿。すっきりとした社殿の鬼瓦にはやはり「杏葉紋」が刻まれていました。

御霊神社(風成)入母屋造本瓦葺きの拝殿

深閑とした境内にひっそりと佇む一間社流造りの本殿。五感をフルに使って全身で感じる神々の息吹。

御霊神社(風成)一間社流造りの本殿

本殿の両脇に鎮座してしっかりと御神体をお守りするのは、1920(大正8)年に奉納された狛犬です。

御霊神社(風成)1920(大正8)に奉納された狛犬

境内西側、鎮守の森の斜面にゆったりと佇む御神木は幹回り約4mのスダジイです。

御霊神社(風成)御神木は幹回りは395mのスダジイ

本殿の北西には、境内社が鎮座しています。

御霊神社(風成)本殿の北西には、境内社

眼下には美しい紺碧の臼杵湾が広がっています。臼杵には海が一望できる神社が多く、境内から望む景色には何処も何故か気持ちがスッと軽くなるような不思議な魅力を持っています。

御霊神社(風成)眼下に広がる美しい紺碧の臼杵湾

「大友二階崩れの変」で討ち取られてしまった田口蔵人佐には4人の子があり、長男の玄蕃亮げんばのすけ、二男の石見守いわみのかみ、長女松枝、三男与一郎です。

屋敷は臼杵市諏訪山にある臼杵市総合公園付近にあったそうです。二男の石見守は諏訪山にて討死、同所山の中腹(諏訪山体育館裏)に墓所が残されています。

長男の玄蕃助は記録が残されておらず事件後、母方の姓を名乗り1586(天正14)年の戸次利光の鶴賀城戦で戦死したとも伝わっています。

与一郎は大泊、松枝はここ風成にて誅され、後に地域の人々によって御霊社としてそれぞれ祀られています。田口家の悲劇は時代が変わっても後世この臼杵の地で語り継がれていくことでしょう。

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