二王座城下町を街ブラ
所用時間:約1~1.5時間
オススメ時期:通年
二王座周辺は江戸情緒あふれる臼杵城下町の代表と言っても過言ではないでしょう。
承徳3(1097)年に臼杵八坂神社が臼杵の地に遷座した当時は神仏習合が広まり、神社の境内には仁王門が建てられていたとされ、この辺りを「二王座」または「仁王座」と呼ばれるようになったといわれています。

臼杵城跡からみた二王座方面
16世紀後半にはキリシタン大名である大友宗麟によって三方を海に囲まれた丹生島に城(臼杵城)が築かれ、あわせて城下町も形成されました。
慶応5(1600)年稲葉氏の入封によってさらに発展した臼杵の城下町ですが、特に稲葉氏の菩提寺である月桂寺をはじめ武家屋敷が多く立ち並ぶ「二王座」は全国に誇れる美しさでも有名です。

二王座の景観
今回の街ブラコース
二王座は特に凝灰岩を切って通した道、切り通しと石垣や塀などが多く城下町独特の迷路のような通りを巧みに配置した造りになっています。

切り通しで通された道
今回はそんな歴史ある二王座周辺を散策するコースをご紹介します。
※クリックまたはタップでお目当てのカテゴリーへ遷移します。
黄色のウォーキングマークがスタートで赤のウォーキングマークがゴールです。その他観光スポットをマーキングしています。
多福寺からスタートする城下町街ブラ
スタートは臼杵駅から徒歩10分の距離にある、臼杵城跡(臼杵公園)の南西に位置する辻ロータリーが目印です。

辻ロータリー
ロータリーにはひっそりと置かれている辻井戸があります。海が近いのに塩分を含まない上質の水が湧き出るとして、水道が普及する明治時代の初めまで使用されていたようです。

辻井戸
臼杵辻郵便局の一つ先の小路を入ると、二王座の代名詞である石畳が現れます。真っすぐ伸びた道の先には多福寺の古風な石段が見えてきます。

多福寺の石段を望む
多福寺は平成14年に公開の大林宣彦監督の映画「なごり雪」でも撮影が行われた臨済宗妙心寺派の寺院です。

細雪と多福寺山門
九州でも珍しいとされる高橋団内祖父(同高橋団内)の作といわれる縦羽目板の袴腰の鐘楼は必見の価値があります。
下の写真のように境内奥の小高い場所からは、多福寺の境内全体を把握できる景観、相対する臼杵城跡を望むことができます。

多福寺境内
蛤小路9mの高さの石垣
多福寺から月桂寺まで続く小路を蛤小路と呼ばれており、この場所には天まで届くのではと思うほど高くそびえる石垣が圧巻です。
高さ9m長さが58mに渡り乱積みされた石垣は途中で直線になり、高くなるほど反り上がる寺勾配と呼ばれる美しい形になっています。

月桂寺の高い石垣
下から見上げるとご覧のとおり、石垣の高さで内部が全く見えず建物の屋根が少し見える程度です。寺院とはいえ、敵を意識して安易に攻め込まれないよう要塞の一部として築き上げたとしか思えません。

月桂寺の高い石垣を見上げる
稲葉家菩提寺である月桂寺
臼杵城跡と相対するように鎮座しているお寺は多福寺ともう1つ、臨済宗妙心寺派清光山月桂寺があります。

月桂寺
臼杵藩5万石の藩主稲葉氏歴代の菩提寺として、慶長13(1608)年に稲葉良通(一鉄)が開基、2代目藩主である稲葉典通が創建、湖南宗嶽和尚が開山したお寺です。現在は拝観することはできませんが、山門のたたずまいと周囲を囲む石垣、塀を見ただけでも400年以上もの歴史の厚みを感じます。
武家屋敷の造りがわかる旧丸毛家住宅
臼杵に数多く残る武家屋敷の1つである旧丸毛家住宅です。月桂寺から南下すること徒歩5分。江戸時代からの姿をほとんど変えずに現在まで残されている貴重な建物です。
旧丸毛家住宅は臼杵市によって公開されており、入場は無料です。

旧丸毛家住宅
身分が高い武士が暮らす屋敷では、来客をもてなす「表」の部屋と、家族ので生活する「奥」の部屋に分けられていました。「表」は屋敷の中でも一番眺めが良く、静かな場所につくられています。「奥」は生活の場として、日当たりの良い南向きの場所に置かれています。

旧丸毛家住宅居間
建物西側にある竹林を望める窓からの景色は情緒があります。屋敷内には他にも囲炉裏(いろり)や竃(かまど)、当時の台所なども拝見することができます。

旧丸毛家住宅下之間からの景色
二王座の坂と町の景観
二王座を散策していると、迷路のような小路とともに多いのが坂です。月桂寺脇の道を入ると写真のような坂が現れます。

月桂寺脇の坂道
臼杵市街地が一望できる場所から西に少し進むと今井邸を見ることができます。ここは石垣と塀を道の途中で屈折させて屋敷の奥が見えないようにする臼杵の特徴的な武家屋敷の景観になっています。
この今井邸奥には文禄2(1593)年に現在の場所(衹園洲)に御神体を移す前の臼杵八坂神社の跡があります。

今井邸(旧武家屋敷)
※この建物は外観のみの公開されています。
今井邸を進むとT字路が現れるので左折して進むと行き止まりになりますが、突き当りには旧伊吹家住宅と呼ばれる侍屋敷があります。
母屋は江戸時代後期にあたる寛政2(1790)年に建築されたもので、市内に現存する侍屋敷の中で最も古いものです。

旧伊吹家住宅
※この建物は外観のみの公開されています。
旧伊吹家住宅の前からは福良や塩田方面を望むことができ、ここからの景色も二王座散策の醍醐味となっています。

塩田や福良方面その向こうの山々を一望
映画「なごり雪」と釘宮邸
旧伊吹家住宅を少し戻って右に入った10mほど先には釘宮邸があります。
釘宮ははじめ読み方がわかりませんでしが、”くぎみや”と読みます。
内部はおしゃれな西洋風の建物が建てられておりここは、平成14年に公開された大林宣彦監督の映画「なごり雪」で「雪子の家」のモデルとなった建物です。

釘宮邸
※この建物は外観のみの公開されています。
北川には高さ4mほどの石垣が積まれておりこれまでの武家屋敷とは一味違った雰囲気を楽しむことができます。

釘宮邸の石垣
※この建物は外観のみの公開されています。
歴史を感じる旧稲葉家長屋門
釘宮邸を通り過ぎると、二王座歴史の道にある四叉路に出ます。

四叉路
右に曲がると、すぐに気が付くと思いますが旧稲葉家の重厚な造りの長屋門が残っています。長屋門とは両サイドに家臣が住める部屋を持つ門の様式ですが、臼杵藩では格式の高い重職の家来にしか建てることが許されていませんでした。
この長屋門は「稲葉土佐様一の槍」の家と呼ばれ稲葉家分家の稲葉甚兵衛の屋敷です。

旧稲葉家長屋門
城下町に溶け込む香林寺
旧稲葉家長屋門からさらに西に進みT字路の突き当りを右に入るとすぐに
禅宗(臨済宗妙心寺派)のお寺で山号は富春山、創建は慶安2年~3年(1649年~1650年)南叟宗栄禅師が開山したと伝わっています。

香林寺山門
二王座の町並みに溶け込んだ、閑静な寺院。境内には江戸の中期に作られた池泉式庭園があり臼杵3名園の1つに数えられています。
参道の石段から本堂まですべてに歴史を感じる趣のある古風な建物です。境内は静寂に包まれ心が洗われるような空間となっています。

香林寺本堂
二王座周辺のトイレ情報
長時間の散策では、トイレの場所は把握しておきたいとこではないでしょうか。
ピンクのトイレマークが各スポット近隣にあるトイレの場所です。
今回紹介しました二王座城下町街ブラコース上にあるトイレはどこも定期的に清掃されているためか毎回キレイに管理されています。
またトイレ自体の数も多く近距離にありますので助かりますね。建物も周辺の景観に合わせお屋敷風になっているところがオシャレです。

蛤小路の公衆トイレ

サーラ・デ・うすきの公衆トイレ

上塩田の公衆トイレ
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