臼杵城下町と犬矢来

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「二王座歴史の道」旧稲葉家長屋門の犬矢来

 

突然ですが臼杵市街地にある歴史的建造物に多く見られる、この竹でできた置物の名前をご存知でしょうか?

散策して回っていると、特に「二王座歴史の道」にある旧稲葉家長屋門や「町八町」に古くから建つ商家の軒下などで見ることができます。

「二王座歴史の道」田町入口付近の空き地の犬矢来

これは犬矢来(いぬやらい)と言います。

竹が湾曲しているものが多いイメージですが、最近では木材で直線的なものや、すべて鉄製になっているものありました。

全国でも圧倒的に歴史的建物が多い京都の町ではあたりまえのように見ることができるようです。

そんな犬矢来は読んで字のごとく「やらい」は”追い払う”の意味で、「犬を追い払う」ことから来ているようですが、実際は仮設の柵として様々な機能を持っています。

  • 犬の放尿よけ
  • 馬が家を蹴るのを防ぐ(現代では車?)
  • 道路との境界を表している
  • 砂利や泥がはねて建造物に傷が付くことから守る
  • 泥棒よけ(よじ登るのに困難)
  • 景観を壊すようなものを隠す(エアコン室外機など)

などが一般的な用途とされています。(※諸説あり)

現代社会では犬よりもむしろ人、車やバイク、自転車などに対して、”立ち入りを制限”する意味合いが強いように感じます。

古くは江戸時代頃から広まったようですが、注目すべきはそのデザインです。違和感なく建物の一部に溶け込んでいてその趣がまた美しい。時代を経て紆余曲折があり、最終的にこの形と色で定まったのでしょうか。

旧稲葉家長屋門の犬矢来

旧稲葉家長屋門

旧真光寺の犬矢来

旧真光寺


小手川商店の軒下

臼杵は古くから武家屋敷や神社仏閣が集まる町として県内でも有名です。その風情ある建物を拝見することも、城下町観光の醍醐味でしょう。

市内散策の際は犬矢来など、いにしえの時代から伝わる先人たちの知恵が詰まった物などにも注目して見てまわっても面白いと思います。

気になった場所や物はスマホカメラで撮影しておき、後で調べてみると意外な用途に驚かされることも結構ありますね。